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経度は時計で決まる?.

下記は、伊能図中図(赤線)と現代図とを重ねたものです。
緯度(縦方向)は合っていましたが、経度(横方向)はずれています。
これは、当時経度方向の計測が難しかったためです。

経度は時計で決まる?.



緯度は北極星の高度を測るだけで古代から簡単に求めることができましたが、地球上の経度を求めるというのは意外と困難でした。
きちんと経度が求められるようになったのは,ほんの200年ほど前です。

経度はグリニジ子午線を基準にして地球をぐるっと0°から360°まで目盛りをつけたものです。

地球は 1日24 時間で1 回転しているので、1 時間あたりだと,角度で360°÷24=15°だけ
地球が回転していることになります。

これは地球から太陽をみれば太陽が南中する場所が 1 時間に 15°ずつずれていくことになります。
だから逆に 2 地点で太陽が南中した時刻を比較すれば,その 2 地点間の経度差が分かることになります。

問題は時刻を比較するためには,2 地点間を携帯できる精度の高い時計が必要なことです。
船乗りが船の位置(経度)を知るためには,出航する港で時刻を合わせた時計を止めることなく、正確に動かし続けなければならないけど,200 年前まではそのような携帯用時計はありませんでした。

もちろん当時も正確な振り子時計はあったけど,振り子時計は船の上ではゆれで使えませんでした。
コロンブスが西インド諸島をインドだと思い込んだのも,当時経度を決めることのできる精度の高い携帯時計がなかったためだともいわれています。

大航海時代,船舶が位置を見失い遭難することが相次いだため,1714 年,イギリス議会は「経度を精度良く決定できる方法」に 2 万ポンド(現在では数億円)の懸賞金を出しました。

この難問に挑戦したのが,イギリスの時計技師ジョン・ハリソンです。
ハリソンは1727年ごろから航海用の時計の試作を始め,1759 年にとうとうコンパクトで,7週間で誤差 38 秒という当時としては驚異的な携帯用時計H4を完成させました。

しかしハリソンが庶民出身ということもあり,さまざまな妨害にあって当初懸賞金の一部しかもらえなかったけど,国王ジョージⅢ世の指示もあり最終的には残りの懸賞金も手に入れました。
ハリソンの発明した時計はクロノメーターと呼ばれ,以後経度決定になくてはならないものになりました。

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