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インドの全地球航法衛星システム

インドは2006年から、独自の衛星測位システム「IRNSS(Indian Regional Navigational Satellite System、インド地域航法衛星システム)」の開発を開始しました。
「Regional(地域)」と名前に入っている通り、IRNSSはこれまで紹介してきたGPS、GLONASS、Galileo、BeiDouと異なり、インドの国土とその周辺にサービスを提供する衛星測位システムで、航空機、船舶、車両、携帯電話への位置情報と時刻情報の提供、測量や災害監視への応用などを目的としています。

実際のところ、隣りにパキスタンという政治的に対立し、なおかつ核兵器を保有する国があることと、中国と国境問題を抱えていることが、IRNSS開発の大きな動機であろうと推測されます。
衛星測位システムは歴史的に、大陸間弾道ミサイルを発射する原子力潜水艦の位置測定のために開発が始まった。現在では部隊の展開から巡航ミサイルの誘導に至るまで、さまざまな軍事目的で使用されています。
インドとしては、安全保障上の理由から、自国周辺の衛星測位は他国まかせにせず、何としても自国で行いたかったと思われます。

IRNSSは、7機の衛星と衛星を管制する地上系とで構成されるシステムです。
衛星のうち3機は東経34度(インド亜大陸の西、アフリカ大陸東部の上空)、83度(インド亜大陸南方のインド洋上空)、129.5度(南太平洋、パプア・ニューギニアの沖合上空)の静止軌道にあります。
残る4機は2機1組で、それぞれ東経55度(アフリカ東岸のアラビア海上空)と111.75度(南シナ海からカリマンタン島、ジャワ島上空)の軌道傾斜角29度の対地同期軌道に入っています。
これら4機は、地表からは24時間に1回、南北方向に8の字を描くように見えます。

測位原理はGPSやGLONASS、Galileo、BeiDouと同じく、衛星から受け取る軌道と時刻の情報に基づいて連立方程式を解き、自分の位置と時刻を算出する方式です。
つまり空に4機以上の衛星が見える地域で、高度も含む位置と時刻の情報を知ることができます。
衛星の可視範囲から考えると、原理的には北は中国のほぼ全土からモンゴル、東はインドネシアからオーストラリア西部、西は東欧の一部からアラビア半島、そしてアフリカ大陸の東部に至るまでの地域で、IRNSSのみを使った衛星測位が可能です。


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